馬場恵作品展「自然のための驚異の部屋・京都」

馬場恵作品展「自然のための驚異の部屋・京都」
馬場恵作品展「自然のための驚異の部屋・京都」

ウサギノネドコ カフェでは、アーティストの馬場恵さんの作品展「自然のための驚異の部屋・京都」を開催中です。
今回は展示中の作品を少しだけご紹介します。

アルカロイドを含む植物
アルカロイドを含む植物

馬場恵さんは、自然が持つ造形美と機能美に魅了され、銅版画の技法を使った美術作品を製作されています。
中でも植物をモチーフにした作品が多く、科学的、歴史的な背景を踏まえて、独自の視点から自然の標本を表現されています。

アルカロイドを含む植物
アルカロイドを含む植物

馬場さんの作品は、食品ラップのように薄い和紙に白インクで刷った銅版画を、樹脂の板に貼り付けて作られています。
その板を何枚も重ね合わせることで、層状の立体感と奥行きのある作品に仕上がっています。

展示している作品は、多くの薬用植物が持っている毒素「アルカロイド」をテーマに製作されました。
トリカブトやオダマキ、フジバカマなどの植物は自分の身を守るために毒素を作り出します。
一度その毒を摂取すれば簡単に命を失ってしまう人間ですが、ギリギリの調整を加えることで傷病を癒やす薬として利用してきました。

アサギマダラ
アサギマダラ

ウスバシロチョウやアサギマダラなどの蝶たちは植物から毒素を摂取し、体内に溜め込むことで鳥の捕食から身を守っています。
10月になると京都でもアサギマダラがフジバカマに集まるのを見かけますが、毒素を摂取するためなのですね。

ヒカゲノカズラ
ヒカゲノカズラ

実はウサギノネドコの名前の由来になった植物、ヒカゲノカズラにもアルカロイドが含まれています。
今回の展示ではヒカゲノカズラをモチーフにした作品も新たに製作していただきました。
ヒカゲノカズラの胞子は、石松子と呼ばれる吸湿性の無いサラサラした粉末です。
その特徴を利用して、古くから丸薬の衣や線香花火の火薬として使われてきました。
また、果物農家では果物の花粉に石松子を混ぜて人工授粉に使われています。

ヒカゲノカズラ
ヒカゲノカズラ

ガラステーブル席の頭上にも大きなヒカゲノカズラの作品を展示しています。
こちらはシルクスクリーンと銅版画を組み合わせて作られています。
転々とぶら下がったオブジェは顕微鏡で見た石松子がモチーフです。

馬場恵作品展「自然のための驚異の部屋・京都」

ぜひお茶やお食事を楽しみながら、ごゆっくり作品をご覧ください。
作品を通して自然との共生や歴史に思いを馳せていただければ幸いです。
ウサギノネドコ ミセでは馬場さんの作品や、グッズもご購入いただけます。

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自然のための驚異の部屋・京都 Wunderkammer fur Natur KYOTO
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■会場:  ウサギノネドコ カフェ
■会期:  開催中〜2016年12月28日(水) 11:30〜20:00 (LO 19:00)
■入場料: 入場料無料。ただしカフェであるためワンオーダーお願いいたします。
■定休日: 木曜日

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ウサギノネドコ図鑑12 バクテリオファージT4

Sola cube Microのモデル紹介第三弾は、「惑星侵略兵器」と言われてもなんら違和感のない造形の持ち主。バクテリオファージT4という、大腸菌に感染するウィルスです。

Sola cube Microは「ミクロ生物」をテーマにしています。ウィルスであるバクテリオファージT4は細胞を持たない「非生物」として科学的には扱われていますが、造形的な魅力があまりにも面白く、取り上げることにしました。

さて、まずはこちらのモデリング画像をごらんください。

構造としては大きく分けて頭部、尾部、尾繊維の3つの部分から成り立っています。二十面体の「頭部」には感染する宿主に注入するDNAが格納されており、足のような「尾繊維」を使って宿主に着地します。

下記の動画でご覧いただけますが、大腸菌に着地する前まで尾繊維は折りたたまれていて、大腸菌に感染する直前に開きます。

バクテリオファージT4は様々なタンパク質が複雑かつ精密に絡み合って形成されています。動画内に出てくる「gp7」「gp9」「gp12」などの「gp」は「GlycoProtein」の略称で、日本語で「糖タンパク質」のことを指します。

■バクテリオファージT4の構造

■大腸菌に感染する様子

いかがでしょうか?

動画で見るとさらに、バクテリオファージが「惑星侵略兵器」ではないか?と感じませんか?

「大腸菌のいるところにT4あり」ということなので、動物、人間、そしてあなたのお腹の中にもいるかもしれません。ビックリされた方もいるかもしれませんがご安心ください。彼らはむしろあなたの味方になってくれるかもしれません。

「大腸菌に感染する」という書き方をしてきましたが、バクテリオファージT4は大腸菌にとりついて自らのDNAを注入し、大腸菌を溶かしながら、内部で増殖します。

つまり特定の大腸菌を殺す機能を持つので、医療分野での活用を目的にした研究も進んでいるのです(バクテリオファージを使った医療行為をファージセラピーと言うそうです)。

最近になってバクテリオファージT4の構造は原子レベルで解明されてきています。かなり複雑な造形をしており、Sola cube Microシリーズの中で最もモデリングに時間がかりました…。

しかし、その甲斐もあり、かなり忠実に再現されたバクテリオファージT4の造形になっていると自負しています。


大腸菌にDNAを注入せんとしているその瞬間を表現しています。

バクテリオファージT4のサイズは、200ナノメートルという小さなもので(1nm(ナノメートル)=10億分の1メートル)、電子顕微鏡を使っても細部まで観察することは困難です。

Sola cube Microはそれを立体で再現しているため、飽きるほど、いや、飽きがこなくて困るほどその造形を観察することができます。

自然界屈指の精密機械。是非、お手にとって、その驚異の造形をお楽しみいただければと思います。

aoyama

Sola cube Micro – バクテリオファージT4 6,980円(税抜)
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